天皇杯とは? ~ 長いその歴史と優勝する意味 ~

2016/08/15

今日はみなさま、よいお盆を過ごされておりますでしょうか?藤枝MYFCのダイアリーも1週間のお盆休みをいただきましたが、今日からまた再開させていただきます! お待たせいたしました!

さて、8月7日(日)のAC長野パルセイロ戦をもって、J3は1ヶ月超のブレークに入りました。次のJ3の試合は9月11日アウェーでの第21節カターレ富山戦となります。

J3の次の試合までは間が空きますが、8月21日(日)には平成28年度第21回スルガカップ争奪静岡県サッカー選手権大会の決勝が草薙球技場にて行われます。この大会は、天皇杯県代表決定戦でもあります。この試合に勝ったチームが、天皇杯への出場権を得るということです。草薙球技場については、以前のダイアリーで紹介いたしましたので、興味がある方はこちら からご覧ください。

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天皇杯とは、よくテレビなどで聞く名前ですが、実際はどのような大会なのでしょうか?今日は天皇杯について調べてみましたので、説明いたします。

【天皇杯の大会概要】

天皇杯トーナメントの仕組み

まず、天皇杯とは日本プロサッカーリーグ(J1, J2, J3)、YBCルヴァンカップ(旧:ヤマザキナビスコカップ)と並ぶ、日本の国内3大タイトルの1つです。ルヴァンカップがJ1の18チームのみに出場権が限られているのと比べて、天皇杯はJFAの第1種または第2種登録や日本フットボールリーグ(JFL)に登録しているチームであれば、どのチームでも出場可能な日本最大のオープントーナメントです。それはつまり、例えば社会人チームにとどまらず、大学サッカー部や高校サッカー部までも、条件をみたせば天皇杯に出場可能だということです。

天皇杯の予選には88チーム枠があり、その内訳は

J1: 18チーム
J2: 22チーム
都道府県代表チーム: 47チーム
シードチーム: (第64回全日本大学サッカー選手権大会優勝チーム [関西学院大学])

となっております。8月21日に行われる試合は、都道府県代表チームの47あるうちの静岡県枠をかけた試合になるというわけですね。

なお、J3のチームには、県の予選の決勝から出場する権利が与えられています。ですので、藤枝MYFCは静岡県予選の決勝からの参加ということになります。他のJ3チームも、例えばブラウブリッツ秋田やAC長野パルセイロも、それぞれ秋田県予選、長野県予選の決勝からの出場となっております。

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実は、上のトーナメント表は、天皇杯の静岡県予選である「平成28年度第21回スルガカップ争奪静岡県サッカー選手権大会」の決勝大会になりまして、ここにたどり着くまでにはさらに別の予選が開催されていました。それが下のトーナメント表になります。

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1回戦はすでに5月29日から行われていたのですね。この2つのトーナメント表を見てば、天皇杯の静岡県代表としての出場枠を獲得するのがどれほど大変なことであるかがわかります。

静岡には全部で32個のチームがたった1枠をかけてこの静岡県予選に参加していますが、全国を見渡せば32チームなんてかわいものだということがわかります。
出場チーム数が多い県であれば、例えば隣の愛知県では1枠をめぐって102チームが争っていますし、東京都ではなんと379チームがしのぎを削って1月からすでに試合をしています。

計算してみたところ、都道府県代表の47枠をかけて全国で2178ものチームが出場していることになっていました。この数字をみれば、天皇杯という大会の裾の広さがお分りになりますでしょうか?

ちなみに、見事天皇杯の出場権を得た場合は1回戦は8月27日(土)または28日(日)に行われます。優勝するまでにはそこから7連勝する必要があり、J1チームは2回戦からの出場となります。

【天皇杯の歴史】

今回の天皇杯は「第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会」という名前がついております。ここで皆様に注目していただきたいのは「96」という数字です。そうです、天皇杯は実はこれで96回目なのです。第1回はなんと1921年まで遡ります。

天皇杯はもともと、当時の英国の大使館のウィリアム・ヘイグ氏が日本におけるサッカーの普及のために、優勝カップを日本に寄贈することをイングランドサッカー協会(FA)に提案したことが始まりでした。これをうけ、日本は全国規模の大会を主催するためにJFAを1921年に発足、そして天皇杯の前身となる「ア式全國優勝競技會」がその年開催されました。JFAが天皇杯を作ったのではなく、天皇杯がJFAの誕生を促したというところが、とても面白いですね。

ちなみに、初回大会の出場チームはたった4チームだったそうで、優勝したチームは東京蹴球団というチーム。東京蹴球団は今でも存在し、現在は東京都リーグ1部でプレーしているようです。

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戦時中は大会は開催されず、戦後第2回目となった1947年度の大会を昭和天皇が観戦。翌年から、今日まで続く名称である、「天皇杯」と呼ばれるようになりました。

1969年に初めて決勝が元旦に開かれ、それからはお正月の風物詩として天皇杯決勝が楽しまれるのが伝統となっております。

1993年、Jリーグが開幕します。このとき、天皇杯はプロとアマチュアのチームが公式戦で対戦できる唯一の大会となりました。

1996年、それまでから天皇杯の仕組みが変わり、出場権が都道府県代表にまで広げられ、高校生まで参加できるようになりました。その結果、2003年には千葉県の市立船橋高校が横浜F・マリノスと対戦する事象もおき、2009年には明治大学がモンテディオ山形を破る歴史的快挙も見られました。

そして、現在にいたっても、弱者が強者を倒す“ジャイアントキリング”が起きてしまう、ドラマのある大会として愛されています。

【天皇杯で優勝する意味】

さて、ここまで長々と説明してきた天皇杯ですが、アマチュアチームでも優勝できる可能性があり、ドラマ性のある大会である一方、J1クラブからすると、リーグ戦、ルヴァンカップ、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)、そして日本代表戦などと試合が多く過密日程である中で戦わなければいけない大会でもあります。英国で行われているFAカップ(天皇杯が参考にした大会)でも同じ問題が指摘されていますが、日本国内でも天皇杯の存在に異議を唱える声は少なくはありません。

しかし、天皇杯に出場するチームはどのチームも真剣に優勝を狙ってきます。それはなぜでしょう?

まず、天皇杯を優勝すると、優勝賞金を手に入れることができます。優勝チームですと1億円、準優勝でもその半分の5000万円を得ることができます。これを次の年の強化費などに割り当てることができるわけです。

しかし、それが欲しくてどのチームも戦っているわけではありません。天皇杯を優勝すると、翌年の富士ゼロックス・スーパーカップに出場できます。これはその前の年のJ1優勝クラブと、天皇杯優勝クラブが対戦をするカップ戦です。

そしてそれよりも重要なのが、天皇杯で優勝すると翌年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)への出場権を得ることができることです!!

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【ACL 2007 の覇者は浦和レッズでした】

ACLとは、アジアのチャンピオンを決める大会で、毎年変わりはしますが、日本からはだいたい4チームが毎年出場します。今年ですと、昨年度の天皇杯で優勝したG大阪が、天皇杯優勝枠でACLに出場しました。

例えばJ1のクラブで、リーグ戦で成績が奮っていないチームであったり、J2、J3のクラブにとっては、天皇杯で優勝することがアジアの舞台でサッカーをするための唯一の道なのです。

「天皇杯優勝は、アジアへと続く道。」

これが、天皇杯を熱い大会にしている理由です。

さて、今週末の試合、絶対に負けられないですね。トーナメントなので、ここからは必勝あるのみです!!

Let’s Go MYFC!!!

※  参考記事
http://www.homemate-research-soccer.com/useful/13504_sport_096/
https://www.v-eleven.jp/special/magazine/trivia/soccer-the-emperors-cup/
https://www.youtube.com/watch?v=S9qn3rJgzPA
http://www.jfa.jp/match/emperorscup_2016/about.html
http://www.jfa.jp/match/emperorscup_2016/regional.html

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